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コラム:順風逆風

3.11の教訓と増改築への期待

◇上期の建設、リフォームの傾向は、本文にあるように帝国データバンクでは、2011年度上半期全国の企業倒産件数と負債総額を集計で、業種別にみると構成比で27.3%を占める建設業の倒産件数が最も多かった、としている。
一方のリフォーム市場はというと、矢野経済研究所の調査によれば、東日本大震災から3ヶ月以上が経過していたが、被災地の復興が遅れていたことなどが影響しているとし、「2011年第二四半期の住宅リフォーム市場規模は前年同期比約12.3%減」となったとしている。しかも「2011年上半期(1?6月)の市場規模は2兆5,143億円。2000年以降では最も低い数値となった」と厳しい。
また、本紙の調査は、概ね新築住宅はエコポイント効果もあり立ち上がりが早いが、一方で統計上の増改築では、大型物件の回復遅れが目立つとしている。小規模の増改築は月を追うごとに回復していると解釈できる、と明るい面も強調した。

◇リフォーム統計はわかり難い。一般的にリフォームの統計は不在とされるが、周知のように、建築基準法第15条第1項で床面積合計10?超の建築物は、都道府県知事に届け出ることになっており、その届出のある新築や増改築の統計を国(国交省の建設統計局)がまとめている。言葉の定義では、「新設住宅」が「住宅の新築、増築または改築によって住宅の戸が新たに造られる工事」とあり、着工統計上は「新設」に、「戸」が加わる「新設・増改築」が新築扱いである。本紙では、「戸」とは無関係の「その他・増改築」は「件」とカウントし、概ね小工事と解釈しているがほぼ間違いなかろう。

◇現在、その10?超の届出の義務がある増改築に限れば、年間で7万戸・件、工事金額ベースで9000億円台もの規模である。20年ほど前の統計を見ると、年間で20万戸、金額ベースで2兆円前後もあったように記憶している。10?未満の増改築はもちろん、住宅設備機器の更新や内装、それにマンションなど集合住宅といった戸建住宅の増改築のように、建物本体の補強などとは直接関係のないリフォームが増えていたため、統計上はこの20年で増改築(建築物のリフォーム)が半減している、と思われる。しかし大震災を契機に住まい観にも変化が見えそう。

◇大震災の教訓から建物本体のリフォームが、耐震や住宅の立地がにわかに注目されている。千葉県や茨城県に限らず、関東の広い地域で液状化の被害があったことがわかってきた。住宅ジャーナリストでもある「Fa.Fa.Fa.」誌代表の岡田さんは、「これをないがしろに前に進めば、いずれまた被害が繰り返され、多くの犠牲を生み、暮らしは疲弊する」と警告を発している。住宅ストック時代の課題である長寿命化リフォーム、建物の改修が耐震や省エネ断熱化。それに土地など環境問題につながる住まいの安心安全の要として、住まい手と施工者が手を組めば、問題解決に一歩近づこう。リフォーム分野でも、大震災の教訓を生かす努力はこれからだ。

モデル事業で住宅産業の模範に
       

◇北海道からは例年より早い降雪の便りが来て、この東京でも2週間前とは大違いの気温。すでに秋は駆け足で過ぎ去ろうとしているようだ。通勤車窓から彼岸花の赤い色が仄見え、引かれて先週の日曜日に自宅近くの田んぼ道を散歩した。水田の畦(あぜ)や土手に、青い草の中で真っ赤な花が長い首のような茎に支えられて、固まって直立して咲いている。数10株のコロニーは孤立を恐れず、その色で自己主張しているようで頼もしい。

◇曼珠沙華ともいい、華やかな名前も持っているが、秋の花として日本でも親しまれている庶民的な花である。だが、「全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリンなど)を多く含む有毒植物。誤食した場合は吐き気や下痢、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死にいたる(辞典から)」とされ、そのせいか忌み嫌われて、異名に、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)ともあり、美しさの割には花の評価は低い。順風子は好きな花だが。

◇話は変わるが、当該住宅リフォームは、東日本大震災の復興需要も手伝って、専業事業者は繁忙を極めているようだ。また、長期優良住宅で既存建物の改修モデルも順調に出揃い、時代へのリフォームのあるべき指針も示されつつあるように見える。そもそもリフォームあh、日本では四半世紀前にその分野が事業と意識されたものの、参入業者の度重なる詐欺まがい事件や工事が付きまとい、リフォーム希望者の不信感は続いてきた。リフォームを担うべき施工部隊も新築の添え物的な事業と位置づけ、軽視してきた。国が新築住宅重視のフローから住宅ストックに軸足を移してから数年、やっと金融・保険面での整備、耐震補強の推進、希望者の相談業務や紛争処理と体制を整え、あるいはWebサイトの民間事業者が業務品質基準を提起するなど努力を重ね、現段階にいたっている。

◇しかし、現状は、全国の住宅ストックを動かすには、圧倒的な力不足の感が否めない。この間期待している国の施策、長期優良住宅先導的モデル事業に大きく期待している。本号でも紹介しているように、『HQ良質の家』の提案で?事業者等からなるグループとして異業種と連携し、?共通の施工マニュアルや仕様書等の整備により改修工事の品質確保、?初期にリフォーム費用および改修前後の「見える化」を実現しようという。22年度までの共同住宅改修のモデル事業の実績と、今回の戸建て部門での採択で、5千万戸余のストックの価値アップできるその突破口として、内容と共に国のアピール力に期待したい。

◇兎角リフォームは日陰者扱いで、しかも地域密着という名の下、孤立しがちなビジネスでもある。国が進める長期優良住宅は、本来新築よりも住宅改修・リフォームがその分野を担うべきだと思う。しかし知名度や波及力を住宅産業でたとえれば、田んぼ地帯の一面の土手や畦に一面の草の新築草が繁茂しているのに対し、リフォーム草つまり彼岸花はその中でわずかにコロニーを形成し、自己主張しているに過ぎない。今やその鮮やかな朱色で自己主張し、全面展開すべき時機に来ている。草刈前の一面の田んぼの中で想った。


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